●新品CD●今や澤野工房の看板ピアニストとなったトヌー・ナイソー。自然とうっとりしてしまう美しいピアノに耳を奪われます! | diskunion 横浜関内ジャズ館ブログ

●TONU NAISSOO / TRINITY / ATELIER SAWANO / CD / 2,381円+税

明るく、そして華やかに溢れるようなメロディへの愛 Tonu Naissooが描く春のジャズ・ピクチャー

「華麗!…やなぁ」と、思わず声に出してしまった。春の海に揚がる三つの凧(カイト)。Tonuの新作の裏ジャケはなんとも麗らかな気配だ。
そこに記されたプログラムの一曲目がCarla Bleyの Ida Lupino。曲名を見た瞬間、耽美を極めたPaul Bleyのソロ・ピアノが脳裏に浮上する。意識するともなく、その響きをプレイバックしながらTonuの演奏に接したところ、ヤラレタ、こう来るか、と思った。なんと、エイト・ビートなのだ。それも、実に明るく華やかな音の連なり。素材は同じでも、扱いによってこうも表情が異なるものか…ジャズの楽しさここにあり、だろう。デジパックのジャケを開くと、雪景色の中のTonuのイラストがあって、それを見ると失礼ながらほとんど好々爺みたい。ところが、この人の音楽に対するセンスは円熟とは程遠いキレを秘めていて、今回はいつにも増してそれを感じた。いや、センスというのも少し違うかも知れない。言ってしまえば、音楽愛のようなもの。音楽家なのだから、そりゃ音楽に愛はあるだろう、と仰るだろうか?確かにその通りなのだが、その愛情が、どうも幼い子供を慈しむような種類のものに感じられてならない。
美しい旋律、ポップなリズム、そうしたものが愛おしくて堪らない…Tonuの演奏には常にそんな印象がある。Wallerのジャズ・スタンダードをスピーディーに演じた、Jimmy Webbのトワイライトな、イントロとアウトロの処理が素晴らしい…ジャンルの壁を越えて、良いものは良い、と言いたげだ。そして、タイトルが語る通り、オリジナルのにはそんなTonuの想いが凝縮している。Gentle Beauty。また、このエストニアンが好きになった。(Text by 北見柊)

■Tonu Naissoo (p)
Mihkel Malgand (b)
Ahto Abner (ds)

1. Ida Lupino
2. Waltse For Dave
3. Gentle Beauty
4. The Jitterbug Waltz
5. Wichita Lineman
6. Island Blues
7. You Must Believe In Spring
8. She's Funny That Way
9. I've Never Been In Love Before



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